SNSを見ていると「web系に行くべき」「SIerはダメ!」という情報を見ることが多いです。
そのような情報を聞いていると、これからIT企業へ転職したい!と考える人にとっては
- 自分もweb系企業を目指すべきなのだろうか
- SIerは将来性がないのだろうか
といった疑問や不安が湧いてきますよね。
正直、SNSの情報についても大きく間違っているとは言えませんが、あまりにもSIerを下に見た発言が目立つと感じます。

プロフィールを見ると「お前SIerで働いたことないやん!」という人も見かけますし…
そこで今回は、Web系・SIerの両方の企業で働いたことのある僕が
- Web系企業・SIer企業の違い
- SNSの内容はどれほど本当なのか
- 実際働いてみてどちらの企業が好きなのか
についてお話します。
Web系とは?SIerとは?それぞれの概要を説明
一般的な定義ではありませんが、SNSでは以下のようにWeb系・SIerが説明されることが多いです。


Web系 | SIer | |
---|---|---|
仕事内容 | 自社システムの開発 | 依頼されたシステム開発 |
企業一例 | 楽天・DeNA・メルカリなど | NTT DATA・NRIなど |
作るもの | ECサイト・マッチングサイトなど | 官公庁システム・ECサイト・業務システムなど |
社歴 | 比較的浅い | 浅いものから長いものまで |
ざっくりいうと、Web系は「一般のお客さん向けのビジネス」、SIerは「企業向けのビジネス」です。
SNSでは、これらのことから「SIerは自分達で価値を生み出さない人売りビジネス」というイメージが生み出されやすくなります。



実際は全くそんなことないんですけどね…
この記事では、できるだけ公平にWeb系・SIerの違いを解説していくので、両者の違いについて見ていきましょう。
SIerとweb系の違いを6つ具体的に解説
では、具体的にSIerとWeb系の違いについて解説していきます。
どのような点が違うか考えてみたところ、ざっと以下の6つが挙げられます。
- 開発手法
- 年収
- 残業
- メンバーのスキル
- 求められる素養
- 将来性
開発手法:Web系はアジャイル・SIerはウォーターフォール?
まず、開発手法についてですが、
- Web系:アジャイル開発
- SIer:ウォーターフォール
が採用されるケースが多いです。



ウォーターフォールは変更に弱いしアジャイル開発の方がいいでしょ!
と言われることが多いですが、実態は大きく異なります。
そもそも、ウォーターフォールにしてもアジャイル開発にしても、システムの規模が大きくなれば必然的に変更に弱くなります。
つまり、単純にWeb系はSIerと比べると全体的に小さな規模のシステム開発をしているだけなのです。
さらに言えば、SIerでも契約によってはアジャイル開発をすることもあります。



実際僕が以前関わっていたシステム開発はアジャイルで進めていたよ!
Web系とSIerの開発手法の違いは、単純に関わるシステムの規模が違うだけと意識しておくといいでしょう。



技術の基礎を固めるには小さいシステムを作るWeb系がいいとも言えるよ!
年収:SIerが平均100万円ほど高年収!
続いて平均年収についてですが、SIerの年収はWeb系エンジニアと比較して100万円ほど高い傾向にあります。
転職サイトのdodaによると、web系エンジニアの平均年収は430.9万円だそうです。


一方、SIerの給与についてですが、厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査(平成29年)によると、平均年収は550.8万円となっています。
そのままのデータではわかりにくいですが、CREATIVE VILLAGEというサイトでわかりやすくグラフ化されています。


Web系企業はSIer企業と比較して平均年齢が若いこともありますが、約100万円もの開きがあります。
なぜこうなるのか?と言うと、SIerは爆発的な収益を生み出しにくいものの、ビジネスモデル上安定した利益を上げやすいためです。


Web系は自社システムで利益を出しているということは、裏を返せばシステムから利益が出なければ倒産の危機があるということです。
例えば、コロナで旅行業界の売上が8割減ったという話がありますが、旅行システムを展開している企業も同様の影響があります。
一方、SIerは顧客さえ失えなければ、安定した利益が見込めます。その結果、企業の業績も安定しやすく給与も上がりやすいというわけなのです。



実際僕もSIerへの転職時には50万円ほど給料が上がったよ!
残業:Web系企業の残業は比較的少ない
SIerはデスマーチがあるため残業も多く、Web系は自社でコントロールできるため残業が少ないという話を聞いたことがありますよね。


最近、SIerもかなり改善されているものの、これは結構ありがちな話だと感じます。
Web系企業のころは一番遅くて21時半でしたが、SIerでは23時半まで働いたことがあります。
とはいえ、残業時間は平均20時間程度ですし、イメージほど酷くないのが現実です。
僕がSIerを批判しない理由は「彼らはバカじゃない」というのをずっと側で見てきているからです。これから人月商売は通用しない、というのは彼らも重々理解していて、案件もどんどんマイクロ化していって数ヶ月単位の開発案件を同時並行で複数回しています。もちろん自分で手も動かして、です。続く。
— わだっしー (@crazy_wada) March 24, 2019
ただ、Web系企業は仕事量は安定していて、SIerは納期による側面があることは覚えておくといいですね。
↓残業時間については以下の記事でも詳しく解説しています。


メンバーのスキル:「SIerのスキルは低い」は本当?
SNSでは、Web系はスキルが高くSIerはスキルが低いと言われることが多いように思います。
これはある程度正しい側面がありますが、企業によります。
SIerは業界構造で、多重下請け構造を取っています。
発注元(システム依頼)=> 元請け企業 => 二次請け企業(開発を担当)
といったイメージです。
ケースバイケースですが、元請け企業は技術力が低く、二次請け企業の方がスキルが高い傾向にあります。
なぜなら、こうした二次請け企業は、様々な案件の開発をするため技術的ノウハウが溜まりやすいためです。



元請け企業は仕事を流しているだけで技術は素人…なんてことも
一方、Web系企業は開発だけでなく、システムの運用も任されるため「安定的にシステムを稼働させる構成」についてもノウハウがあります。



SIerは基本的に運用担当はしないよ!
その点においてSIerは開発スキルは身につくが、Web系企業はさらに「システム運用のスキル」も身につくため、技術力が上がりやすいといえます。
↓ただし未経験でWeb系企業に入るとついていけなくて辛い…というケースも少なくないです


したがって、総合すると開発スキルを上げるならSIerで基本的にOK、運用スキルも上げたいならWeb系も視野に入れるのがいいですね。
求められる素養:Web系に向いている人は仕事と遊びの境界がない人
web系企業は、良くも悪くも「特定の人の依存度」が非常に大きいです。
逆に言うと仕事ができる人には、SIerの比にはならないほど仕事が集中します。一例を挙げると、
- 新規事業に注力しながら
- インターン生のメンターをしつつ
- 採用に関わりつつ
- イベントの主催準備をしながら
- 別プロジェクトのレビューをする



え、仕事量多くない…?
と思われるかもしれませんが、これだけの仕事を楽しめる人がWeb系に向いているといえます。
Web系では、全ての仕事を自社でする必要があります。その分、仕事の幅は広く、開発以外の業務時間も増えやすい傾向にあるのです。



僕も採用やイベント準備などいろんな仕事をしていたよ!
将来性:Web系もSIerも将来性は◎
最後に将来性については、Web系もSIerもどちらも十分高いです。
Web系企業は常に新しいツールやサービス、パッケージなどを使いこなすことが求められます。その高い技術力は将来性が高いと言えるでしょう。
一方、SIerの仕事は、顧客の課題を解決するシステムを作ることです。つまり、顧客が抱えている課題を明確にして解決するシステムを作る力が必須です。
どちらも必要で、どちらの将来性も十分に高いです。SIerの将来性は低いのでは…?と不安に思う方もそんなことはないので安心して大丈夫です。
僕がSIerを批判しない理由は「彼らはバカじゃない」というのをずっと側で見てきているからです。これから人月商売は通用しない、というのは彼らも重々理解していて、案件もどんどんマイクロ化していって数ヶ月単位の開発案件を同時並行で複数回しています。もちろん自分で手も動かして、です。続く。
— わだっしー (@crazy_wada) March 24, 2019
【体験談】ぶっちゃけWeb系とSIerどっちが良かったか
ここまでWeb系とSIerを公平に見てきましたが、それぞれ良い点・悪い点が存在します。
その中でも「両方働いてみてどっちが好きなの?」と気になる方もいるかと思います。
結論から言うと、僕は個人的にWeb系企業が良かったと感じています。
Web系企業に流れる空気感は、まさにベンチャー企業という感じがあります。新卒で入ったこともありますが、
- 採用
- イベント登壇
- 合宿の幹事
- 自分で仕事を決められるやりがい
など、仕事の裁量権は大きかったように感じます。ただし仕事に慣れるまでは時間がかかりますし、本当に辛かったです。


一方、SIerについては
- 自分が今まで触ったことのない言語
- ゼロイチでシステムを作る案件
- よりお客さんの声が直に聞ける環境
など、運用スキルは上がらずとも開発スキルの幅は、SIerの方が確実に広がりました。未経験なら教育体制が整っている企業も多く、おすすめできます。
僕は、エンジニアとしてスキルを高めることはもちろんですが、仕事の幅の広さからWeb系が好きだったと感じています。
このような意見も判断の1つになれば幸いに思います。



Web系・SIerはどちらが良い悪いじゃなくて向き不向きだよ!
まとめ:SIerとweb系どっちがいいかは人の性格次第!
ここまでの内容をまとめます。
- SIerとWeb系企業はそれぞれ向き不向きが違う
- Web系は仕事の幅が広い傾向にある
- Web系に向いている人は仕事と遊びを混同できる人
ここまで、Web系・SIerの違いとそれぞれ向いている人の特徴などについてお話してきました。
個人的にはWeb系企業が好きですが、全ての人が当てはまるとも思いません。
なので、「ここまで読んだけど、自分はどっちを目指すべきか迷う…」と思う方もいるでしょう。
そんな方は、以下の記事で「自分の強み・適正は何か?」を再認識することをおすすめします。診断サービスなども紹介しているので、ぜひご覧ください。


【エンジニア転職を成功させる】
- ブラック企業には行きたくない
- わからないことだらけでサポートが欲しい
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未経験からエンジニア転職を実現するためには、自分に合った転職サイトを使うべきです。
webの評判が良くても未経験者にはおすすめできない転職サイトも数多くあります。
その中で、僕が「実際に使った」転職サイトのうち、未経験者におすすめのサイトだけピックアップして解説します。
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