新型コロナウイルスによって各業界で様々な影響が出ています。
当然、エンジニア(プログラマー)業界も例外なく打撃を受けており、「未経験エンジニアの採用事情ってどうなの?」思われるでしょう。
今回は、そんなコロナの状況の中で
- コロナによってエンジニア未経験者の採用状況はどうなっているのか
- afterコロナにはどんな状態になるのか
- 今の状況でエンジニア未経験者は何をするべきなのか
ということを予測も踏まえてお話していきます。
コロナによってエンジニア未経験者の市場は縮小傾向
まず、始めにお話しておきたいのは、やはりコロナによってエンジニア未経験者の採用は縮小傾向にあるということです。
なぜ、縮小傾向にあるのか?ということを説明するためにも、IT業界の構造について少し説明します。
コロナにより元請けIT企業・自社開発企業は慎重な対応
まず、全体的な傾向ですが、コロナの影響により各IT企業は、システムの外注や新規事業に対してより慎重な対応を取ることが想定されます。
なぜなら、コロナによって、現在利益を立てているサービスが影響を受けることは基本的に避けられないためです。
コロナの状況下において、大半の企業は以下のような対応をすると考えられます。
- 企業の出費を抑え社員の雇用を守る
- 主力事業の売上を維持する方法について考える
つまり、「企業としての出費を抑える = 外注コストなどの固定費を抑える」「主力事業の売上 = 大企業とのパイプを太くする」ことを方針とする企業が多くなります。
コロナの影響を受けやすい受託企業・SES企業
良いかどうかは別として、IT業界は「多重下請け構造」になっています。つまり、一次請け企業が二次請け企業に仕事を渡し、二次請け企業が三次請け企業に渡す…という構造です。
ここで、先程の話と合わせると、一次請け企業に来る仕事が減ると、影響を受ける企業は一次請け企業に留まりません。
その下の二次請け企業、三次請け企業などの下請け企業にまで大きな影響を受けることになります。
日本は業界構造上、受託開発企業が非常に多いです。総務省が発表しているデータによると受託開発を生業としている企業は情報サービス業全体の約3分の2を占めています。

このような状況になると、1つの仕事を複数の下請け企業が奪い合う状況が発生します。そうすると以下のように
- 発注側:より今までの実績・信頼がある企業に仕事を依頼
- 受託側:各企業が仕事を取るために安価で仕事を引き受ける
今まで実績の少ない中小企業に関しては、売上を立てることに必死になるものの、実績がないために仕事が取れない・取れても安価という状況になります。
仕事が取れたとしても利益は少なく、企業を成長させることは難しい状況にあり、未経験エンジニアのような「投資」をするほど余裕のある企業は数が限られるというわけなのです。
転職者を受け入れても十分な教育体制が用意できない
また、急激な社会情勢の変化に伴って完全にリモートワークを導入する企業も増えてきました。GMOグループなどは新卒を含めた4000人規模でリモートワークを取り入れています。
しかし、リモートワークの中で課題が見えてきており、特に教育に関しては課題を感じる企業は少なくありません。
リモートワークが広がって、オフィスをなくす動きがある。確かに、信頼関係ができた仲間であれば支障はないかもしれない。ただ新人教育はうまく機能するのか?中途入社でも帰属意識を感じられるか?中長期的に組織の一体感や残すべき企業文化が薄れないか?克服できる課題かどうかの判断はまだ難しい。
— TM|pfwork代表|複業家 (@tm_pfwork) May 14, 2020
リモートになった時の新人教育の課題をとても感じている。
— Miroc Kodachi (@miroc007) April 25, 2020
それは学校に行けなくなった時の教育問題にも似ているかもしれない。
エンジニア未経験者の採用をしているとわかりますが、企業にとっては「未経験者がいつ給料以上の稼ぎを生み出せるようになるか」はものすごく重要な観点です。
しかし、企業側としてはコロナ前のように先輩社員が未経験者の横で指導する環境を提供できず、成長速度を求めにくいと感じています。
それゆえに、教育を横でできないリスクを考えても採用したいほど「自走できそうな人」でないと受け入れにくいのが現状なのです。
コロナが収束してもエンジニア未経験者の市場は改善されない
では、コロナがある程度収まってからエンジニア転職を目指そうと考える人もいるでしょう。
しかし、仮にワクチンが開発され、コロナが収束したとしてもすぐに採用事情が回復するわけではありません。
ここでは、コロナ前のエンジニア採用事情とコロナ後に想定されるエンジニア採用事情を予測してみます。
コロナ前、加熱気味のエンジニア採用
エンジニアの採用はある種ブームと言ってもいいほど加熱していました。特にスキルの高い優秀なエンジニアに関しては各企業おもてなしとも言えるほどの待遇を用意していました。
以下の記事にも多く記載されていますが
- 人材を「採る」から「来ていただく」への時代の変化
- 給与レンジや事業数値などの赤裸々公開
- 1人70万円のiMac Proを136人に投資
など、他の業界ではなかなか見られないような「採用合戦」が繰り広げられていました。
それほど中途採用は難しく、企業側としても「優秀な未経験者を育てた方がコストが安い」と未経験者採用がどんどん進んでいく流れになりました。
そして、未経験者採用が一般的になってきており、応募者の増加もマッチして以前の採用市場が形成されていました。
コロナが収束しても市場価値が高いのは「経験豊富な」エンジニア
では、コロナ渦中・収束後に価値が高いエンジニアというのは、やはり「経験豊富な」エンジニアです。
エンジニアのキャリア転職サイトである@typeには以下のような記事が掲載されています。
エンジニアは他の職種よりも圧倒的に売り手市場です。コロナショック前と比較して、需要過多の状況は今も変わっていません。
コロナショックが「エンジニアの転職」に与える影響は? 4つの疑問に転職のプロが回答【高野秀敏】
先日、私のSNSでコロナショック後も求人を出しているスタートアップの情報を募ったところ、4月2日時点でも数多くの企業が採用を強化していることが分かりました。
つまり、コロナによって打撃を受けている企業は数多くあるものの、コロナをチャンスと見て優秀なエンジニアを獲得したい企業は増えているのです。
一方で、未経験者層の採用には、コロナ以前から買い手市場の感覚が強く、各社も「急いで未経験者を採用する必要はない」と思っています。
経験者を採用して地盤を再度固め直してからでないと、未経験の採用に踏み切る企業はなかなか出てこないと予測できるのです。
コロナの今プログラミング学習をすることが無駄なのか
ここまで悲観的な意見をお話しましたが、現状、未経験からエンジニアを目指すのは無駄ということか?と疑問を持たれますよね。
これは、あくまでも個人の見解ですが、現状未経験からエンジニアを目指すのは「厳しいが不可能ではない」と思っています。
優秀な未経験エンジニアの採用コストは企業としても魅力的
ここまでは、経験者層の採用についてお話していますが、未経験者層についても「優秀な人」は積極的に採用したい企業は少なくありません。
つまり、経験者同様、手が届かなかった未経験者層を取り込むチャンスと考える企業も少なくないというわけです。
しかも、こうしたコロナの状況下で採用を考える企業の中には、コロナのようなイレギュラーな環境にも対応できる自力のある企業であることも多く、未経験エンジニアにとっては魅力的な企業といえます。
エンジニア未経験者に求められるのは「短期間で戦力になりそう」感
では、企業にとってどのような未経験エンジニアなら歓迎か?と言われると「短期間で戦力になりそう」な人です。
例えば以下に当てはまる人は、未経験でもエンジニアとして採用したいと思えます。
- 質の高いポートフォリオを作成している
- 圧倒的に勉強量をこなしている
- 前職でもリーダーを務めるなど仕事上の「実績」がある
- エンジニアとして活躍したい理由やビジョンが明確
このような人は、コロナで各企業が採用を控える状況下においても十分に価値が高い人材と言えます。
ここに記載していることは、一般的に言われていることが多く「誰でもできること」ですが、それを「誰よりもこなすこと」が未経験者の採用に大きく関わるということなのです。
コロナ渦中で未経験エンジニアが現実的に転職を目指すなら
ここまでお話したことは、基本的にコロナ前でも同じことが言えました。
しかし、それだけでは希望する企業への転職は、望めないかもしれません。そこでさらに現実的に転職を目指すなら「コネクション作り」が重要になります。
エンジニア未経験者におけるコネクションの重要性
コロナ渦中の今、未経験者が通常の採用ルートで応募をすると「未経験」というだけで書類選考で落とされる可能性が非常に高いです。
以下の記事ではコロナに入る前の未経験エンジニアの転職について記載されていますが、
- 書類選考:約80社
- 面談・面接:約20社と実に
と書類選考で、4分の1ほどに企業が絞られていることがわかります。
今の状況では、さらに書類選考で落とされることが考えられます。
そのため、既に企業で働いている人とコネクションを作り、書類選考をパスして面談に臨むリファラル(紹介)採用を狙うのがいい方法です。
エンジニア未経験者のコネクションの作り方
とはいえ、普通のエンジニア未経験者は、コネクションなんてないと思いますよね。
プログラミングスクールに通えば、卒業生と繋がることができるかもしれませんが、全ての人が可能なわけではありません。
現実的な方法としてはwantedlyやTwitterから、興味のある企業のエンジニアに片っ端からメッセージを送る方法です。オンラインの勉強会に参加し、繋がりを作っておくのもいいでしょう。
「本当に返事なんか来るの?」と思われるかもしれませんが、メッセージの内容が失礼な内容ではなく、きちんと勉強実績を公開していれば、返事をくれるエンジニアは少なくないかと思います。
結局コロナの今、未経験からエンジニアを目指すのは「アリ」なのか?
ここまでの内容を読んで、「結局、今未経験だけどエンジニアを目指すのは良いの?悪いの?」と思われますよね。
こちらの回答としては、個人的には「アリ」なので、一度できるところまで本気でやってみるのがいいかと思います。とはいえ、「追い込むために現職を離職すること」や「借金をしてスクールに通うこと」などはおすすめしません。
基本的には今のような状況下においても、コツコツと学習を積み重ね、他人に見せられる実績やポートフォリオを作り、コネクションを作るという地道な積み重ねが後々必ず生きてきます。
コロナショックから復活するのは、数年後になるでしょうし、エンジニア転職は若いほど有利です。
この状況だから学習をやめるのではなく、地道に学習を積み重ねて気長に転職活動をするといった長期戦をしたほうが、結果的にはエンジニア転職への最短コースになるのではないかと感じます。
まとめ:コロナの影響は小さくないが転職までの算段をつけよう
ここまでの記事のポイントをまとめます。
- コロナによって未経験者層の採用は厳しくなっている
- 今後数年にわたって以前の状態には戻らない
- 未経験からの転職は算段をつけることが重要
僕は、エンジニアは素晴らしい仕事だと思っています。これからエンジニアを目指す方も、ぜひこの素晴らしさを体感してほしいと思っています。
しかし、取り巻く市場はコロナによって厳しくなった面があることも否定できません。
とはいえ、企業側として採用をする中でも、本気の人は採用したいなと感じることが多いです。厳しい環境の中でも負けず、ぜひエンジニアになる学習を進めてもらいたいと思います。
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